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過剰色彩見本帳

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【AURYN】5月公演「トゥイードル」上演延期のお知らせ

【重要なお知らせ】

平素はAURYNを応援くださいまして誠にありがとうございます。
5/13(水)~5/17(日)に開催予定のAURYN「トゥイードル」につきましてお知らせがございます。

この度、新型コロナウイルスによる新型肺炎の影響、感染拡大状況をふまえ公演を延期とさせていただきます。

政府による緊急事態宣言も発令され、いままでとは一段階フェーズが変わったと理解し、この情勢においては、公演関係者並びにご来場下さるお客様の安全の保障が難しく、また健全な創作活動の環境を確保できないと判断した次第です。

今回の延期に伴うキャンセルに関しましては、すべて劇団側にて行います。ご予約いただいていたお客様には5月公演中止のご案内をお送り致します。そちらの連絡をもちまして手続き完了と致しますので、お客様にてご連絡、手続き等は不要です。ご不明点、ご質問などございましたらお手数ですが下記メールアドレスまでご一報くださいませ。
メール:aurynguide@gmail.com

この公演を楽しみにしていただいていた皆様、ご予約を下さった皆様、応援下さった皆様のご支援やご期待に添えなかったこと、大変不甲斐ない思いです。誠に申し訳ございません。

座組一同に意思確認を取り、公演は延期とさせていただきました。
情勢が落ち着き次第ではありますが、来年お目にかかれればと思っております。まずは2021年春頃を目処に動く予定です。またいつか、なんの不安もなく安心して皆様の前で上演できる日を目指し再度精進して参ります。今後ともAURYNを何卒よろしくお願い申し上げます。


一日でも早い収束と皆様の健康を心からお祈り申し上げます。

2020年4月8日 
AURYN
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<公演代替企画>「合わせ鏡」


そのひとは、女性に見えたが声はバリトンの響きだった。いや女性男性などというものはないのかもしれない。そもそもひとではない。目の前にいるのは、悪魔と呼ばれるものだった。

「どちらかを引いて」

悪魔はラファエロの彫像のような微笑みを浮かべながら水野に2枚カードを差し出した。紺色と朱色で模様は同じ。

「ほら早く」

長い髪をかきあげて悪魔は迫った。水野はひとつ息を飲み込んで、声を出した。

「これを引けば、本当に助かるんですか」
「知らないよそんなの」

悪魔はつまらなそうに吐き捨てた。

「私は決められたとおりやってるだけだから。上の気分次第じゃないかな」
「そんな」
「まあ君は、手順が丁寧だったから上からも気に入られてるよきっと」
「……」
「こんな方法、やるヤツ今時いないしね」

決められた日付の0時ちょうどに決められた場所で月の光を浴びながら合わせ鏡を行うと霊道が開く。確かにそんな子供だましのようなことで本当に悪魔が召喚できるとは正直思わなかった。
悪魔が面倒くさそうなしぐさでカードを再度示す。
水野は意を決してカードを引いた。朱色のカード。ハートのエースだった。悪魔はもう一枚のカードを懐におさめると早口で言う。

「ハイ、そっちね。アタリだよ多分。おめでとう」
「なにが起こるんですか」
「だから言ったじゃん、知らないよ」
「でも、今よりは良くなるんでしょう」

悪魔はニヤリと口の端を上げる。恐ろしいほど美しかった。

「今が変わるだけだよ。未来がどうなるか保証なんてない」

水野はもう一度カードを見る。ハートのエース。

「きっと、いい未来になるようにしてみせます」
「人間は不便だね。時間の概念に縛られすぎている。生死があるから仕方ないのかもしれないけど。でも生命のないものとあるものとの間にどんな隔たりがあるか言えるかい?この時代の科学とやらでは明確に分ける基準もないじゃないか」

悪魔は不満そうに鼻をならした。

「生死は一体なんだよ。それなのに一方をなくそうとしても無理だってどうして分からないのかねえ」

悪魔は立ち上がって腕を広げた。水野は一瞬、十字架を連想した。どこからか風が吹いて水野の髪がなびく。いや、ここは窓のない部屋のはずだ。水野は身震いした。

「それでも、生きている意味を求めることは愚かな行為ではないはずです」
「平等などということはあり得ないんだよ。幻想だ」

笑って、悪魔は水野に背を向けた。

「まあ上にじゃなく、私に願うってことは、分かってるんだろうけどさ」

声が届いた瞬間、辺りは真っ暗になる。慌てて左右を見渡しても暗闇だ。水野は叫びだしそうになるのをこらえ、自分の呼吸だけに集中した。三回、吸って吐いてを繰り返した頃、ようやく目が慣れたのかぼんやりと明かりを放つものが見え、手探りにそちらに向かっていく。
それは月明かりを反射する鏡だった。そこに映った自分の顔を見て、水野は初めて涙を流した。

ーーー
お題<ペアのもの>:表裏一体

<公演代替企画>「テキサスホールデム」


彼はギャンブルが好きだった。
競馬に競輪、麻雀を一通りやっていたし、友人たちと夜通し賭け事で遊んでいた。会社を辞めたあとパチプロになったらしいと聞いたときには、さもありなんと思ったものだ。
オッサンのやるものだと思っていた私は最初は抵抗感を示していたが、何度も誘われて根負けするように彼に付き合って賭け事をした。実際、競馬場などは(特に大勢で行くと)祭りのようで楽しかったし、少額でも当たればかなり嬉しいもので、次はもっと高額で当てたくなる気持ちも充分に理解できた。とはいえやはりそれは私にとってイベント的な楽しさで、常習するまでには至らなかったので、彼がそこまではまる気持ちは分からないままだった。
彼の賭け方は気っぷが良かった。好きな馬や選手にどーんと高額を賭ける。他のひとの賭け方など知らないのでそういうものなのかもしれないが、それでも彼の賭け方は私にはできない形だったので驚いた。ある意味で負けることが前提だったと思う。負けても悔しがることはなく、笑ってビールを飲んでいたし本当にただ娯楽として楽しんでいるのだと思った。あの日までは。

その日は彼の同僚が趣味でディーラーをやっているカジノバーにいた。カジノといいつつボードゲームなどもあり、気軽にゲームを楽しめる場のようだった。とはいえそんな店に行くこと自体慣れていなかった私は、ポーカーのルールすら知らず、彼のうしろでおとなしくカクテルを飲んでいるだけであった。
しばらくしてメンバーが入れ替わり、彼に入りなよと声をかけられた。分からないからと断ると、同僚のディーラーの男性からも教えますので是非、と促され、私はおどおどと緊張しながら彼のとなりの席に着いた。
カードの役と賭け方を教えてもらい、最初の何回かは皆練習に付き合ってくれた。初対面でも和気あいあいとした雰囲気で、人見知りしがちな私もすぐに自分から発言することができた。あとから考えてみればそれはやはり彼が誰とでも気軽に話せる明るい性格で気遣いがうまく、さりげなく私に話題を振ってくれていたからだった。
ようやくルールに慣れてきた頃、気がつけば私は一番勝っていた。メンバーやディーラーが手を抜いたりおまけをしてくれていたのだが、それでも単純に嬉しかった。

次でラストという大一番のカードが配られる直前、私はコインを落としてしまい、テーブルの下にもぐりこんだ。半円形のテーブルの下は当然暗く、見つけるのに少々手間取ったが、彼の足元の方に転がっているのが見えた。拾って起き上がろうとしたそのとき、彼の手が動いたのが見えてつられるようにそちらにふと目をやった。彼の右ポケットに、一枚のカードが入っているのが見えた。半分はみ出したそれは、ジョーカーだ。あれ、と思って顔をあげると、彼と目があった。
彼は数秒こちらを見つめ返し、ふ、と目を細めて笑うと、頬杖をつく仕草のなかで一瞬、人差し指を口の前に立てた。
え、と思ったとき、カードが配られ、彼になにかを聞く機会は失われてしまった。私は心臓が激しくどきどきと鳴っているのを耳の奥で聞きながらカードを開いた。
2枚を捨て、新しく2枚をもらう。良い引きだと思った。ベットする。一人が乗り、二人降りた。彼も乗ってきた。さらに上乗せする。彼もさらに上げる。私も乗る。もう一人は降り、彼と私の一騎討ちになる。
私からカードをオープン。2とQのツーペア。
彼もカードを開ける。7と8のツーペア。そして、ジョーカー。
ワンペアとスリーカードで彼の勝ち。私の賭け分が取られ総合で一番勝ったのも彼になった。
ジョーカーは、さっき彼のポケットに入っていた絵柄と同じだった。

その後、私たちは何事もなくポーカーを楽しみ、酒を飲んだ。
翌日から、毎日のように来ていた彼からの連絡は徐々に数が少なくなった。私はそれに気づきつつも自分から連絡を取ることはしなかった。そして、それから2ヶ月が過ぎる頃にはほとんど会うことはなくなっていた。

私はそのとき確かに彼のことが好きだった。彼も自分に好意を向けてくれていたと感じている。それでもお互い、それ以上距離を縮めようとすることはなかった。
あのとき彼はイカサマをしたのか、またイカサマなのだとしたらなぜそんなことをしたのかは分からない。そのときはただのゲームで実際の金を賭けていたわけではなかったし(せいぜいが飲み代くらいだ)、勝ちにこだわる性質でもない彼がなぜそこまでする必要があったのか。
ツーペア同士では、一番数の大きいペアを持っている方が勝ちだ。彼がジョーカーを出していなければ、あのとき勝っていたのは私の方だった。

もしあのとき、ポケットの中身のことを聞くことができていたら、私たちには違う「いま」があったのだろうか、と何年も経ったいまでもふと考えることがある。



ーーー
お題<ペアのもの>:ツーペア

AURYN「トゥイードル」

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2020/5/13(水)~17(日)

<脚本・演出>
窪寺奈々瀬

<あらすじ>
母は私達に同じものを着せたがった
私はピンクより青が欲しかったのに
父は私達をいつも比べて怒った
私は普通にしてただけなのに
友達は私達を見て似てないのはおかしいと笑った
似てない双子もいるんだよって説明するのに飽きてしまった

同じ日に生まれて
同じ道を歩いてたはずなのに
繋いだ手はどんどん離れていってもう届かない
ケンカした日は鏡を覗いた
私の目の奥の奥のほうに
似てないあなたが写っている気がして
嫌いなあなたが写ってる気がして

でも、もしかして。
あなたは私じゃないだろうか。


あなたは私の光
あなたは私の影
鏡に手を当てる
あなたはだあれ

<出演>
板倉萌(ソラニエ・ラボ)
キジマチカ(演劇ユニット「クロ・クロ」)
星秀美
山崎丸光

<会場>
エリア543
東京都杉並区井草5-5-25 西ビルB1F
西武新宿線上井草駅徒歩1分

<タイムテーブル>全9回
13(水) 19:30
14(木) 15:00 / 19:30
15(金) 15:00 / 19:30
16(土) 13:00 / 18:00
17(日) 13:00 / 18:00
※受付開始・開場は上演の30分前
※上演時間約90分予定

<料金>
予約:2,700円
当日:3,000円
双子割:5,000円(2名1組。要予約)
学割:2,500円(要学生証)
☆いずれもソフトドリンク付

<ご予約>
https://www.quartet-online.net/ticket/auryn3step

<新型コロナウイルス対策について>
現在も新型コロナウイルスの影響が全世界的に拡がっておりますが、5月公演に関しましては、座組の総意として通常開催を目指しております。感染予防の対策を厳重に行った上で公演を行う予定です。
<対策例>
・公演関係者の体調管理の徹底(手洗い、検温等)
・場内の換気、消毒
・スタッフのマスク着用等
出来うる限りの対策を講じ、お客様が安心安全に観劇いただける環境作りに努めて参ります。
また今後流行拡大を受け、変更等がある場合にはできる限り迅速にご案内致します。
この件に関し、ご不安な点や確認、ご質問等ありましたら、お手数ですがお問い合わせくださいませ。

<サイト>
https://auryn.jimdosite.com/

<お問い合わせ>
aurynguide@gmail.com

<みどころ>
3歩目です。いままででいちばん小さい会場で行います。いままででいちばん少ない人数で臨みます。
双子のお話です。
どんなお話になるのか。鏡をのぞいたときのそわそわ感を大事にしたお話にできたらいいなと思います。
体調も気分も余裕があれば是非いらしてください。

そこの底~どん底edition~

劇団スズメバチ。
3/27 13:00@下北沢亭

「その上位互換が私」

さくら、見えずとも

寝れない部屋
3/18 19:00@オメガ東京

「僕だって愛されたかったよ!」

愛してる.com

ペーパーナイフ
3/8 13:00@兎亭

「近い将来おっさんになるからだよ!」

トラ、と、ラット、ら

ドレスダウンの女
3/7 19:30@東中野バニラスタジオ

「誠実であろうと思って。宇宙人として」