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マルタ・サギーは探偵ですか?

野梨原花南 富士見L文庫

マルタは飴の包み紙をとって口に含む。知らない味だ。奥歯でガリと噛みしめて立ち上がる。
泣くな。
マルタは鼻に皺を寄せ、上着の襟を両手でビッと直し、裸足で石畳を踏む。

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舟を編む

光文社 三浦しをん

それにしても気になる。「おーいと言えばお茶」でも「ねえと言えばムーミン」でもなく、「つうと言えばかあ」。なんだ、「つう」と「かあ」って。鶴の化身の女が空へ呼びかけたらカラスが返事したのか。

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どろぼうの神さま

Herr Der Diebe / Cornelia Funke  コルネーリア フンケ  細井直子 訳

「ときどき、大人だったらいいのに、って思うことないか?」運河にぼんやりかげをうつす橋をわたりながら、プロスパーは聞いた。
リッチオはきょとんとして首をふった。「ないよ、どうしてさ?小さいってのは、なかなか便利なもんだぜ。目立たないし、おなかもすぐいっぱいになるし。スキピオがいつもなんていうか知ってるか?」
リッチオは橋げたからぴょんととびおりた。
「子どもはイモ虫、大人はチョウチョ。それで、チョウチョはイモ虫だったときの気もちを、わすれちまうんだ」
「そうかもしれないな」プロスパーはつぶやいた。



大人になるとはどういうことか、子どもでいるとはどういうことか。
誰もが悩む、その誰にも分からない答えを探す子ども達のお話。・・・なのかな?(爆)
大人になりたいと願うスキピオやプロスパーの思いは、周りにいる大人への反発からであって、自分がああなりたい、というのではない。それはやっぱり子どものとき誰もが思うことなのかもしれないけれど、大人になれば誰からの束縛も受けずにすむ、という少し間違った認識はいずれ正されて、そうする間に子どもは大人になっていくものだと思う。そのプロセスがないまま『大人』になってしまったスキピオは、やはりこれから苦労していくんじゃないかなと思ってしまった。私なんかはスキピオの選択は、やっぱり、本当にいいの?と思わずにいられないもので、早まるなよ!と声をかけたくなったりしたけれど、『大人』になった彼はとてもすっきりきっぱりとしていて、スキピオにとってはあれでよかったのだろうな、とも思います。後悔していないのだったら本当に何よりだと。大人になりたい、という気持ちはそれが反発であっても、やはり憧れの気持ちが強くて、大人になったらあれもできる、これもできる、自由でいられる、というような思いがあるんだろうなと思うから、いざ『大人』になってみて、そう都合のいいことばかりでもないことに気付いて、スキピオはがっかりしただろうと思うと切ないですが。でも、彼にとっての自由は家を出ること、が第一だったから、それはかなえられたからよかったのかも。
どろぼうの神さまであったときのスキピオは、それだけが自分を支えるものであったのかもしれない。見つからないかどきどきしながら家のモノを盗んで、嘘がバレないかどきどきしながら星のかくれ家に向かって。心が痛むことも多かったと思うけれどそれでもやめられなかったのは、やっぱり『どろぼうの神さまである自分』に誇りをもっていて、それが自分を支えてくれていたからなのだろうなぁ。みんなに嘘がばれた瞬間のスキピオは本当に小さく感じられた。この話は、プロスパーが主人公と見せかけて(?)、やっぱりスキピオの話だなぁと思った。
最初、メリーゴーランドの事が出てきたときは、てっきり、『精神的に』大人になったり子どもになったりするんだと思っていたので、本当に体が大きくなったり小さくなったりするのかよ!とびっくりしました(笑)しかも精神的には、というか中身はそのままで体だけが変化するのはやはり面白くて夢があると思った。記憶とか知識とかはこのままであの頃に戻れたら、とか思う私にはすごく都合のいい乗り物です(爆)
ヴィクトールやイダとエスターおばさんやスキピオのお父さんの描かれ方が本当に対称的。子どもに理解があるのとないの。お互いどちらもいきすぎなんじゃないかと思うけど(特にエスターおばさん)、でもこういう人って実際にいるんだよなと思わせる人達。マッシモ氏も、スキピオがいなくなった時に真剣に探してるところで愛情を感じられたし、子どもが嫌いなのではなくて苦手なだけなんだろうなと思わせる人だと思う。スキピオとも、よく話し合えばお互いもっと分かり合えただろうに、と思うとちょっと惜しい。ヴィクトールは印象がどんどんかっこよくなっていきました(笑)最初はただのおっさんだと思ってたのに、読みすすむにつれて徐々に理解あるダンディーな男性に・・・(笑)こんなにイメージ変わるのって珍しい。書き方がうまいんだろうなー。
他の子どもたちも皆魅力的でした。リッチオが好きです(はいはい)ヴェスペも本当にいい子だし、モスカもお兄さんぽいとこがかっこいい。ボーは正直むかつくとこもあったけど(苦笑)、そのどこまでもまっすぐな素直さはそれこそ子どもにしか持ち得ないもので、羨ましくもありました。わがままだし手におえないところもあるけど、子どもだってちゃんと考えてるんだっていう主張も強くて、偉いと思う。
それにしてもバルバロッサ・・・。調子にのりすぎなんだよ!ヴィクトールもおもわず叫ぶ(心の中で)。(笑)てかおまえがオチかよ!?とちょっと驚いた。やられたー(笑)
図書館で借りた時は、結構長いしちゃんと読み終わるか不安だったんですが、評判通り面白くて続きが気になる展開なので、どんどん読み進む事が出来ました。章も10ページくらいずつで短く分かれてるからすごく読みやすかったし。
舞台もヴェネツィアということで、行ってきたばかりだったので、リアルト橋の賑わいとかサン・マルコ広場の鳩の多さとかちゃんと想像できて読めたのでとても楽しかったです。あーまた行きたいヴェネツィアー(爆)

No.6

[ナンバーシックス]#1,#2  あさのあつこ

「生きているやつが勝ちさ。生き残ったことに負い目なんか感じるな。そんなヒマがあったら、一日でも一分でも生き延びて、たまに死んだやつのことを思い出してやればいいんだ。それで充分さ」
「それ・・・僕に言ってるのか」
「あんた以外に誰がいる」
「自分自身に・・・言い聞かせてるみたいに・・・聞こえた」
ネズミは、瞬きし、紫苑をみつめ、くだらないと呟いた。




面白い世界観だと思う。ちょっとづつ分かるこの世界のしくみがとても新鮮。よくある近未来モノとはまたちょっと違って、うまく現代の社会が反映されてて、それがある種の風刺のように感じられました。
ネズミと紫苑の関係はすごくかっこいい。なんだか薄氷の上にいるようなのに、その手はしっかり握り合っているというか(謎)信頼しているのか、尊敬しているのか、見下しているのか。程度の差はあれ、全部の感情をお互いが持ち合わせている感じがすごく危ういんだけどとてもカッコ良い。だから、彼らの口喧嘩はすごくはらはらするのだけど、何かのきっかけがあるとすぐに途切れて終わって、終わったらどちらもさっきまでの言い合いのことを気にしてない感じがすごい。あっさり終わりすぎだよ(笑)
ネズミがかっこいいのは言うまでもないのですが、紫苑がとてつもなく強い子ですごいと思う。そして頭のいい子。ネズミは紫苑を知りたがりすぎると言うけれど、こんなところにきてまで無知でいろなんて酷な話だと思うよ。紫苑は情報処理能力に長けてるんだから、数字ですべてを考えてしまうことはないというのはすぐに分かる。でもそこを奢らずにネズミの手荒い忠告をしっかり聞く素直さもあって。いい子だねー(爆)ネズミの言葉は、すごく、痛くて辛い言葉、だけれど、それだけ核心をついている言葉。それをちゃんと理解していて、そしてそれを受け入れる事のできる強さを持っている。その上で、自分の中で譲れないものもちゃんと存在する。すげぇ。
沙布も火藍(面白い名前ですよね)も強いなぁと思うけれど、これはまた違うもので、女性の強さを見せてもらったという感じ。母は強し。沙布も可愛くて不器用で好きです。
2巻まで読んだけれど、話がまだまだこれからって感じなので、続きがすごく気になります。てか、この話が児童書扱いされてることが意外というか信じられない・・・(爆)(一応ヤングアダルトらしいですが)あさの女史の本は、こう、胸がぎゅーっとなって何か言いたいのに言葉が出ない思いにさせるのが本当に上手だと思います(意味わからんよ)
あー『バッテリー』も早く読みたい・・・!!
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蒼井紅音

  • Author:蒼井紅音
  • 観劇感想がメイン
    小劇場界隈では細々と本名で役者やってます。
    Twitter:@nns_perla630
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