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散る日本

肋骨蜜柑同好会
11/13 15:00@眼科画廊地下

「将棋名人戦は私のオモチャであつた。」

原作:阪口安吾。圧倒的エンターテイメント将棋観戦記。もとが随筆と思えない。

初演は2年前。話題になっていたけど行けずじまい。ものすごく評判よかったから本当に観たかったし今回観れてよかった。原作は観劇後に読みました。安吾自身将棋はそう詳しくなく、盤面の展開を見ているだけではヤマ場はわからない。棋士の一挙手一投足、表情の微細な変化を細かくとらえることに腐心した本作は行動が仔細に描かれていて、役者はその通り演じていてあとはナレーションされているだけ。それがこんなにも目を釘付けにしてやまなかった。役者の圧というか集中力が素晴らしかった。ひとつひとつの所作にこだわりを感じた。それは計算も無意識もあってどちらもとてもよかった。二人の役者が剛と柔というか相反する印象でそれをうまく使っていたと思います。将棋盤に裸足で乗っちゃうのだけ最初は気になった。三八手で終局というのだけ知っていたのだけど、事実は、三八手で挑戦者が負けそうなところをなんとか千日手にしようとしそれを避けようとした名人が敗北した、ということのようでした。当たり前のことかもしれないけど馬鹿な私は棋士の先を読む目のすごさにまずお口アングリだよ。三八手で勝負が決まるというのは14手目くらいで棋士にはわかっていたことで、先の見えた戦いをどうしようかと戦う二人の意地とプライドの話なのだと思った。もしかしたら将棋の勝負としてはよくない一局だったのかもしれない。それが後世まで残りしかも演劇として上演されるなんて、安吾も木村名人も塚田八段も予想してなかっただろうなあ。そして「散る日本」の意味。まさかプライドを守って負けた名人と日本敗戦をダブらせるということになるとは思わなかった。最後の主観に満ちた慟哭こそ随筆の肝のように思われた。けれどそこを軽視するような作りにしたのがエンタメ的演劇の妙だなと思う。面白かった。

室田渓人さんの熱さ、重厚さと危うさ。対する小林勇太くんの静けさ、理知さ、稚拙さ。すべてが相乗効果だったと思います。フジタタイセイさんの安吾そのものの語りも耳障りよくきれいに入ってきました。さすがです。

(2017/11/18記載)
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