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舟を編む

光文社 三浦しをん

それにしても気になる。「おーいと言えばお茶」でも「ねえと言えばムーミン」でもなく、「つうと言えばかあ」。なんだ、「つう」と「かあ」って。鶴の化身の女が空へ呼びかけたらカラスが返事したのか。

面白かったーぁ。
久しぶりに、読んでて止まらなくなった。主に通勤中に読んでたんだけど駅着いて本を閉じなきゃいけないのが本当に悔しくなった。そして終わりに近づくにつれてもったいない思いに駆られた。ずっと読んでたいと思いました。
さすがだなぁ。うまいなぁ。でも、「まほろ軒」よりも「風が強く吹いている」よりも今回が一番好き。

題材が辞書、ひいては言葉、ということでそれだけで興味をひかれる。
実際の業務がこんなにさわやかで熱血で軽やかなわけではないと思うけれど、でも情熱だけは確かだろうと思う。
企画立ち上げから15年という、きっと通常の企画ならとっくに倒れてしまっているだろう目標を、こつこつと根気強く作られたもののすごさ。それが何の特別感もなく、書店に並ぶというプロ根性。
途中、馬締のキャラクターや恋心も交えてくすくすと笑わせつつ最後まで直球勝負で静かに熱い。最後、松本先生が「間に合わない」のは読んでいるうちに予感があるのだけど、それでも目頭が熱くなる。

キャラクターも魅力的でいいですね。馬締はもちろん、佐々木さんや岸辺さん。いちばん読者寄りだった西岡にやはりすごく共感した。最後まで携われない悔しさとそれでも最後まで支えようとするかっこよさ。あとがきの名前は嬉しかっただろうなぁ。
荒木から馬締に視点がバトンタッチしてからはずっと馬締視点なんだろうと思っていたので、西岡のターンが来たときはおぉっと思った。こういう視点入れ替わってそれぞれの胸中がわかるスタイルもともと好きなので嬉しかった。

辞書編纂部の面々だけでなく、宮本はじめ製紙会社や印刷会社、装丁のひとたちすべてが力を合わせたんだよ、というのがすごい、なんというか嬉しくなる。
いちばん好きな場面が装丁を見るところでした。本の装丁はやっぱり大渡海を意識されたもので、そういう演出がたまらないし。さらっと描かれているけれど、装丁部のひともちゃんと意志を汲んでいるのが嬉しい。

本屋大賞も納得。これは、読者に支持される本だろうなと思った。
電子辞書に押されている昨今、私の辞書も本棚に埋もれて最近手に取っていないけれど、久しぶりに開いて「ぬめり感」を確かめてみたくなりました。
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